築地市場の移転候補地(豊洲)の汚染除去実験の公開(2010/04/24)その2

前回、築地市場移転先の豊洲汚染除去実験公開の記事で、掘削微生物処理と原位置微生物処理の説明をしましたので今回は残りの、中温加熱処理、洗浄処理、地下水処理を紹介します。


先ずは
■汚染がベンゼンだけじゃなくシアン化合物や油膜(油分)や、果ては重金属まで含む場合
中温加熱処理
対象物質
ケースA:油膜とベンゼン
ケースB:油膜とベンゼンとシアン化化合物と重金属
実験概要
汚染土壌を掘削し、中温過熱処理プラント(場外施設)で汚染物質を除去
浄化方法
1)汚染土をプラントで加熱し、油、ベンゼンを分解
2)ケースBはシアン等を含むため、加熱処理後に洗浄処理

つまり、一旦プラントで掘削した汚染土砂を充分過熱(500℃以上)し、シアン化合物及び油類を揮発・分解させて、汚染土壌を浄化する。

既に類似するものとして日立プラントテクノロジーで実用化している技術です。
http://www.hitachi-pt.co.jp/products/es/soilremediation/tps.html


■汚染物質が水溶性の場合(地下水に溶け込む危険がある汚染物質の場合)
洗浄処理
対象物質
シアン化合物、重金属
実験概要
汚染土壌を掘削し、土壌洗浄プラント(場外施設)で汚染物質を除去
浄化方法
汚染土を洗浄し、汚染物質を除去

つまり地下水に溶け込むかもしれない(反対派が、地震液状化したり汚染した地下水が噴出して危ないとか言っているやつ)汚染物質を掘り出して、洗っちゃおうと言う訳。

汚染土壌に水を加えて、磨砕処理及び分級を行うことにより、ベンゼン・シアン化合物及び重金属による汚染土壌を浄化する。汚染土投入装置をテント内に設置することにより、揮発性物質であるベンゼンも拡散せずに処理することができる。

大林組が実用化している技術でアールキュービック土壌洗浄システムというのがあります。
これは、施工単価が安く洗浄水が再使用(完全循環)出来る点で、素晴らしい方法だと思います。

重金属汚染土を浄化する場合は通常、汚染土をふるい、洗浄水で浄化する「分級洗浄」という方法が用いられています。分級洗浄を行うためには、大型のプラントを用いて汚染土を洗浄し、重金属を離脱させ、清水ですすいで浄化します。これまでの洗浄システムでも、洗浄水やすすぎ水の大半は、プラント内で再利用していますが、処理過程で使用する薬剤濃度が徐々に上昇するため、一定量の水は排水する必要がありました。
このたびプラントを設置した同社姫路事業所は、瀬戸内海に隣接した立地であり、環境への配慮が厳しく求められたことから、特殊な薬剤を用いた独自の処理技術を開発し、洗浄水を場外に放流することなく、完全循環できるシステムを完成させました。

今回、大林組が提供した土壌洗浄システムの特長は下記のとおりです。
これまでの洗浄システムでは、洗浄水やすすぎ水のすべてを浄化に再利用することは困難でしたが、新しく開発した薬剤と水処理技術により、無放流で完全循環利用が可能なシステムとなっています。
汚染土を敷地内で処理(オンサイト処理)する際に用いている高精度分級システムや高効率のすすぎシステムなど、様々な技術を一部改善して活用しています。
洗浄システムの装置や処理工程を見直すことにより、当社の従来型の洗浄システムと比較して、プラントの運転に要するコストを20%程度低減しています。
重金属の土壌浄化については、これまでは比較的広い敷地の浄化工事が多かったため、現場の敷地内にプラントを設置して浄化するケースがほとんどでした。
しかし今後は、プラントが設置できない小規模な現場や、住宅地に近接しているため騒音や振動の影響を考慮しなければならないケースが増加すると予想されます。このようなケースでは、その地域のいずれかの場所に完全循環型の定位置式浄化設備を設置すれば、浄化ニーズに対応することが可能となります。特に土壌汚染問題の顕在化が著しい首都圏、中部圏、近畿圏などでは、今後このような需要が増加すると思われます。
http://www.obayashi.co.jp/press/news20060925

他にも色々類似技法が確立され実用されています。

いずれも、水で洗いながらふるいにかけ、シアン化合物や重金属等の「水溶性」の汚染物質を水に溶かして洗っちゃう技術です。
土壌洗浄処理工法MSW工法
http://www.toyo-const.co.jp/technology/3289.html


■既に汚染されている地下水及び土壌ガス、汚染物質の場合
地下水処理
対象物質
ベンゼン、シアン化合物、重金属
実験概要
地下水を揚水し、水処理プラントで浄化
浄化方法
1)原位置において地下水を揚水
2)水処理プラントにおいて浄化
3)清浄な水を注入(復水)することにより、浄化効果を促進


要はね、まず汚染区域土壌に鉄板(鉄矢板)を水を通さない層まで差し込んで、土壌を隔離しちゃう。

ようはバケツに土を入れた状態にしちゃうわけ。

そして汚染された地下水を抜く

抜いたのと同じ量の綺麗な水を注入する

これを何度も繰り返し、地中の水溶性汚染物質を全部洗ってしまう。

簡単に実験するなら、バケツの土の中に赤い絵の具を入れて土をかぶせ

あとは水を入れたり抜いたりしていれば、どうなる?中の絵の具は全部溶けてなくなっちゃうでしょ。
これがこの工法の原理。

すっからかーん工法(ネーミングがすごい)
http://www.asahitechno.jp/technolgy/techno_9/techno_9_1.html

他、類似技術多数あり

土壌吸着ベンゼンの揮発も期待できるので、非掘削土壌の汚染地下水対策として活用すれば、浄化期間の短縮に加え、地下水の再汚染
の可能性も大幅に低下することが期待できる。

とここまでが、実験を見れなかった人(あくまで都民対象)のための、実験の説明。
都の職員さんが丁寧に説明してくれて、本当は質問したいことを反対派の馬鹿のせいで質問できなかったので、自分で調べ上げて書いた。(質疑応答になったら、急にシュプレヒコールが上がって何も質問出来なかった…おまけにマスコミはここぞとシャッター切ってた)

さて、他にも見学時のスナップがあるので




見ていたら腹が立った。

そう、本来化学の知識もあって、これらの説明を聞けば納得できるはずの有知識者が、反対派に雇われヒステリックに喚いていた。
こういうのを、
環境ゴロツキ学者
って言うらしい。(元北大理学部学長北大名誉博士に教えてもらった)

とにかく、この間の新聞記事の引用だけど

無害化した土の汚染度、4万倍ではなく2.7倍 東京都
http://www.asahi.com/politics/update/0720/TKY201007200222.html
築地市場(東京都中央区)の移転予定地・豊洲地区(江東区)で、土壌から汚染物質を除去する実験をした都が、「環境基準の4万3千倍のベンゼンが見つかった土壌を無害化できた」との中間報告をまとめたのに、実験時の濃度は2.7倍だったことがわかった。都は3月の報告公表時に、この事実を把握しながら明らかにしていなかった。
 豊洲地区では2008年に環境基準の4万3千倍のベンゼンなどが見つかった。有害物質を除去できることを確かめるため、都は今年1月から豊洲地区で実験を開始。3月の中間報告では、4万3千倍のベンゼンが検出された地点を含む周辺の土壌を加熱処理した結果、無害化できたとした。
 しかし、実験開始時の汚染濃度(初期値)は環境基準の2.7倍だった。複数地点で採取した土壌をまぜて測定したため、汚染濃度が低くなった可能性があるという。
 ベンゼンの初期値が低かったため、都は豊洲での実験とは別に、環境基準の20万倍の汚染土壌を人工的につくり、加熱で除去できることを確認したという。
 都は「20万倍の汚染も除去できたことから、対策の効果は確実。初期値は隠したわけではなく、専門家に意見を聴いた上で、最終報告にあわせて公表する予定だった」としている。

要はさ、実験しようと思って汚染の濃い場所を掘り出して攪拌(栄養塩等を混ぜるために)して計ってみたら2.7倍に薄まっちゃったよ…それじゃ実験にならんからベンゼンふりかけたら20万倍になっちゃったよ…気合い入れて処理したら成功したよ。つまり…
環境基準の20万倍の汚染土でも除去可能!
という頼もしい実験結果だった訳だ!

この記事を書くまで、色々な人とこの問題を説明し論議したが
総じて化学の成績が悪かった人、勉強してない人、文系理系と分けて自分の無教養をごまかす人に限って、聞き分けの無い無茶な反論ばかりしていた。

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逆にキチンと教養のある人は、「ベンゼンを分解する微生物って嫌気性微生物に多いんだよ」とか「もっといい方法あるのに」とか、「なるほどね」以外のとても有益のある反応が返ってくる。
嫌気性微生物に言及してくれた人は、どうみても化学者じゃない、ミュージシャンっぽい格好してたけどw
その人曰く、文系理系と自分の教養に枠を設ける馬鹿な国民は世界中で日本人だけだよ。と。

本当にその通りで、この反対運動ってそういう人達がやっているんだろうな。

いや、もっと具体的に言えば大型プロジェクトに一律反対する共産党に泣き付いた反対派仲買人が、築地市場を考える会を作り、マスコミを巻き込んで世論操作を図り、まんまと騙された人達。

ちなみに、○○を考える会 ってのは共産党工作員の常套手段で、新東京タワースカイツリー)を考える会なんてのもある。
で・・・

この間、東卸組合が破産してサーバー運営費すら出せなくなったようで
(そりゃそうだ!中卸の総意じゃない反社会運動だから、管財人に使途不明金扱いされたんだろうなぁ)
築地市場を考える会のドメインが競売に出されています。(tsukiji-iten.org)
全然買い手が付かない模様。(笑)
5000円だったら、俺が買い取って「移転賛成ブログ」でも書こうかなw

とりあえずリンク先消失と言う事で、Wikipediaからのリンクは外されていたぞw

とりあえず、築地市場の移転候補地(豊洲)の汚染除去実験の公開の報告は以上。
何か質問があれば、コメントなりブクマなりで!


☆☆☆☆☆☆まとめ☆☆☆☆☆☆

築地市場移転が急務な訳
移転先(豊洲)の汚染除去の実態1
移転先(豊洲)の汚染除去の実態2
築地市場移転騒動
急転 築地市場移転へ
豊洲新市場予定地の液状化について 
新市場の設計はこれでいいの?(予定)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

次回は、築地市場移転騒動の経緯について書いて行こうかと・・・
かなり泥臭い話になりますが・・・
結局、こういう反対運動の裏には利権が付いて回るわけで(反対派も利権利権と騒いでいるけどね)
築地を離れると困る人達が繰り広げる、ドロドロの闘争を書いて見ます。


8/20 追記 
地下水処理現場の写真と原位置微生物処理現場の写真を間違えて掲載している事がわかったので、訂正します。

新市場の設計について次々記事で言及する予定ですが、私が問題提起しようとした内容を既に猪瀬副知事が見事な記事をブログに書いておられまして、ちょっと重複する可能性大です。(^^;
流石作家出身です。先に読みたい方は
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/inose/080401_35th/index.html

ちなみに伝言ゲームで炎上中のフリージャーナリスト岩下氏ですが、先ほど謝罪のツイートを猪瀬副知事宛に送っていますので、この炎上はここまで。
(間違いを認めてキチンと謝罪するジャーナリストは少ない)

彼は現状かなり偏った取材をしているようなので、是非とも都側の取材もキチンと行い、自分で化学検証出来ないのであれば慶応大学や東大などの環境系学部を取材して、内容の裏付けを行った上で都民が正しい選択が出来るよう、キチンとした報道をしてもらいたい。

追記
4月、私に築地問題を取材したライターさん、こりゃ下手に記事は書けないと、地道にあちこち回られて、今も念入りに裏を取って回っている。猪瀬さんの所にも行くとか。それに比べると岩上の軽薄さはなんなんだ? また変なツイートしてやがる。
取材は足で稼げ!って昔、言われなかったのかな?(ドラマっぽい話ですがw) 明らかにネットに頼り過ぎ、鵜呑みしすぎ。

追記
移転反対派のヒステリーが、汚染除去のプロセスを理解せず、26種類の汚染物質!とか騒いでいるけど、馬鹿すぎて可哀そうになってきた。
やり玉にあがる六価クロム化合物の多くは水溶性だから洗浄処理で除去できるし、微生物処理だって出来る。
要は地下水汚染の可能性のある汚染物質は、洗浄処理等で処理できるわけだし、揮発性物質は微生物処理と熱処理で対処可能。
水にも溶けない揮発しない熱に対しても安定している毒物(放射性物質を除く)なんて、地中深く埋めとけば何の問題もないだろ
豊洲に作るのは土を食べる施設じゃないんだし。