動画大革命

コンテンツインデックス、知の共有という視点で、ニコニコ動画のプラットフォームがいかに優れているか、ちょっと書いてみようと思う。(だって、グッドデザイン賞授賞の理由が、評価せざるを得ないなんて、馬鹿な理由が付けられているんだもん)

YouTubeニコニコ動画の登場で、最近ずいぶんと動画が賑わってきた。
私にとっては、上記2サービスの登場自体は、斬新的と思いつつも、動画をビジネスに・・・云々の騒ぎ自体は、何を今更・・・と思ってしまう。

動画をビジネスに使うなんて・・・とうの昔に技術もインフラも整っていたのだから・・・

単に、頭の悪い経営者でも理解できる環境(眼で見て分かる状態)にまでなっていなかっただけ。

では・・・何故、ニコニコ動画が革命的なのか?

何故、遊びのサイトでありながら、ビジネスでの利用を視野に入れて、注目すべきなのか?

最近のニコニコ動画の記事を読んでも、あまりその点が触れられていないので、ちょっと書いてみようと思う。

インターネットで動画を流す、という事自体は、すでにWindows95の時代から、HP上にActiveXを呼び出す記述で、とっくに実現できていたし(実際、当時そんなHPを立ち上げた記憶がある)その後、embedタグで各種プレーヤーを埋め込んだり、FLASHムービーが生まれFlashオブジェクト埋め込みにより、更に一般的になったかもしれない。

動画投稿サイトだって、過去に色々あった。

単にファイルアップロード&表示というだけなので、プログラム自体も別に難しくはないし、実際にそんなサイトは腐るほどあった。(サムネイル機能がなければ、1997年でも一部実現可能だし類似サイトは既にあった)

しかし、YouTubeニコニコ動画の登場まで、動画があまりビジネスシーンに「成功」の文字を刻めなかったのは、実は理由がある。

色々な理由の中で、今回の記事では、Blogやタグ吐き出しやネットワーク問題とは違った視点で記事を進めます。

それはMPEG4という規格を作った際に、既に問題化していたのだが、

延々と続く動画コンテンツのメタ情報が、検索可能な状態で保持できていない。

と言う問題が無視できない。

情報理論では、情報に付加されるそれ自身に関する情報がメタデータ(メタ情報)と呼ばれる。Wikipediaより)

つまり、30分の動画があったとする。
これを動画を見る前に、検索や、観る動機付けとなる情報・・・・
「この動画は、〜という内容で、1分32秒から・・・・というシーンがあり・・・・」
こういった、内容を示すメタ情報が動画のファイルの中にファイル名以外に仕込めないという問題があった。

つまり

検索可能な状態で保持できない訳で、知の共有が出来ない問題があった。

だから、やたら長い日本語のファイル名の動画が、なんともまぁ多いこと・・・(特にP2Pネットワーク上に)

私が、動画ビジネスに関わったのは確か1997年頃だったが、この問題を処理する方法として、私が当時在籍していた会社で選択したのは、

動画のメタ情報を動画を貼り付けたHTMLページに記述する。

という解決方法だった。

(実際、それ専用のHTMLエディターをロボヘルプというソフトをカスタマイズして作った。ちなみにロボヘルプというプログラムは、その後、マクロメディア社が買い取り、現在、e-Learnningの標準規格SCORMに最も沿ったエディターとして、親しまれている)

この辺のいきさつや、細かい事項は(書いたか忘れたけど)


インターネットストリーミング―技術・利用事例・2005年への期待

インターネットストリーミング―技術・利用事例・2005年への期待

この本に書いておいた・・・・ような気がする・・・・(共著で著作権を保持しない寄稿なので、買ってもらっても儲からないので、せめてここからのリンクで買って頂戴・・・・買う人は・・・・)

ちなみに、この時の世の流れは・・・・
動画ファイル内に、そのコンテンツ内容を記述したXMLを入れる。
と言ったものだった。
つまり、

MPEGというファイルの中にXMLをぶち込んでエンコードし、プレーヤー上でXMLをデコードする。

といったものだ。
これが、MPEG-7の基本的な概念だったと思う。(もう記憶が定かじゃないよ)

その辺の事は、コチラの本に書いてあったような気がする・・・

最新技術解説 入門MPEG‐4

最新技術解説 入門MPEG‐4

なんか、どっかのアフィリエイトブログみたいなので、本の紹介はその辺で・・・

で・・・振りが長くなったけど・・・
私が、ニコニコ動画を見て衝撃を受けたのは・・・
これら、動画が内包する諸問題を、ニコニコ動画は全て解決してしまったのである。

その動画ファイルが、どんな内容なのか?
これは、発信者側が記述すると、宣伝文句や自画自賛な美辞麗句しか出てこないが(コメント機能が付いたものの、それがYouTubeの限界)受信者側が記述すると、率直に見た感想となり、公開する動画の内容情報として「本来必要とされる情報」が蓄積される。

ニコニコ動画は「動画のどの位置(タイム)に対してコメントしたか」が公開され、その情報が単に動画上を流れるだけでなく(コンテンツ的に、面白くなる話は以前したので割愛)その情報が外部に発信されるのである。

http://www.nicovideo.jp/watch/ca1538566

こんな風に・・・・

(話はそれるけど、初日に3万以上の再生があったって事は、この再生数って公式動画としては大成功? いわゆる大手による配信ではないので、ニュースになっていない・・・と言うか、大手がニュースにさせない?)

現在のところ、ニコニコ動画の貼り付けた情報はタグを見るとiframe内なので、貼り付けたBlogに、このコメントという文字情報は、見た目わかるものの、検索結果には影響しない。

しかし、この情報をそのページ上に文字化する事ができるBlogが生まれたなら・・・
(コメント情報をRSSで吐き出し、受け手のBlogがRSSリーダー機能を備えていれば)
動画の内容情報が、広く検索対象となり、強く大きく広まるのである。

いや・・・・
既に、このiframe内のタグを読み取ると・・・
例えば、上記の「Candy☆Boy」の動画の場合
http://www.nicovideo.jp/thumb/ca1538566
ここに、動的に表示されている。

残念なのが、このページのソースが
くstrong>動いてませんね wwwwwwww 恋人握り&ニーソ・ス かわえええ ちょw…... く/strong>
となっている。(ソースなので、ひらがなの「く」の字に置き換えています)

これが、各ワード毎にstrongタグでくくられていたなら・・・・
今頃、Googleが大騒ぎする検索結果になっちゃっていたことだろう。
(こんな仕様変更は、お茶の子さいさいだと思うけど)

つまり、1997年の私だったら、もう・・・涙を流して感動した発想の大転換が、ニコニコ動画上では、「おもしろいでしょ」という理由のもと、行われている。

ニコニコ動画上に付けられる、コメントの他に「タグ」ってのも、動画のジャンルを示すメタ情報として、非常に面白い。

つまり、ニコニコ動画にアップされたこの動画を例にとるなら・・・

くタイトル>Candy☆Boyく/タイトル>
くジャンル1>公式く/ジャンル1>
くジャンル2>Candy☆Boyく/ジャンル2>
くジャンル3>アニメ2.0く/ジャンル3>
くジャンル4>OVAく/ジャンル4>
くジャンル5>AICく/ジャンル5>
・・・・・・

くコンテンツタイム1>06:05く/コンテンツタイム1>
くコンテンツ1>いい予告でしたく/コンテンツ1>
くコンテンツタイム2>05:48く/コンテンツタイム2>
くコンテンツ2>男なんて必要ないんじゃないのか?く/コンテンツ2>
・・・・・・

というメタ情報が、外部に発信されるようにする・・・なんて事が、このニコニコのプラットフォーム上で可能になるわけだ。

もちろん、現在のニコニコ動画の楽しみ方の一つに、弾幕がある。
この辺がメタ情報上、ゴミ情報になってしまうわけだが・・・CGMと言うのは、利用者によって最適化されるものだから、当初、そういったゴミが入っても、コメントの分別化機能(そのコメントが、検索や内容紹介に合ったものだった場合、投稿者や閲覧者が、フラグを立てる)を付与してやれば、解決するだろう。

そして、ニコニコ動画CGMなので、色々見た人の悪意も入ってしまうが・・・
動画投稿者のコメントと、動画投稿者が評価したコメント、そして閲覧者が評価したコメント・・・こういったフラグが立てられるなら(投稿者コメントは、自動で出来そうだけど)、同じプラットフォームで、動画のビジネス利用が今までにない形で実現する訳である。

多分、Googleだってニコニコ動画に注目しているだろうから、YouTubeの進化型は、そういった形になる事が考えられる。

つまり、ニコニコ動画の発想は・・・・
こういった派生形を考えれば、本当にコロンブスの卵と言うか・・・
発想の大転換とでも言うか・・・
ものすごい革命的な事を「おもしろいから」という理由でやってのけた訳である。

ぶっちゃけ、動画を編集してUPする過程で、その動画内にメタ情報を埋め込むなんて作業、編集する立場にとってみれば・・・堪忍してくれ!な作業なわけである。

それを「見た人」がやってくれるなら、楽チンだし
HPを見るレベルのスキルで出来ちゃうなら、完パケ納品した後、クライアントでやってくれ!
でOKなわけだし・・・・

他にも、e-Learnningでの問題解決になるのだが・・・

先生は面倒な事は嫌いなので
「講義の動画をUPして終わり」
にしたい訳だ。(本当に困ったちゃんです)

で、学内サーバーにニコニコと同じようなシステムを入れておいて、講義の動画をUP。

先生が
「ここは重要」「ここはテストに出すぞ」「この部分は〜を調べると分かる」
とか
見た生徒が
「この部分は〜を見たら理解出来た」
といったコメントでも入れれば、「つまらない講義の動画」に様々な加筆が加わり、講義の完成度が高くなっていく。
(誰が書いたかのログなんかは、先生だけ見れれば良いわけだし・・・)

そして、単に講義の動画を見るにとどまらず、講義の情報をコメントも含め検索できるようになっていれば・・・・

おぉぉ、書きながら発想したけど・・・これはすごい・・・・

ITに疎い人でも、動画の情報を知の共有の目的のもと、メタ情報を付与出来てしまうのである!

ITに疎くても、その動画を大勢の人に見てもらう施策が出来てしまうのである。

ECだったら、商品紹介でレビューが動画上に付く。
そのレビューが検索対象になる。
レビュー入りの動画が検索対象になる。

くれぐれも言っておくが、ここで言う検索とは、馬鹿なSEO対策の事を言っているのではなく、知の共有に役立つインデックス化の事

を述べています。(と言いつつ、きっとスパムは発生するだろうなぁ)

うーん・・・益々、ニコニコ動画がもたらした、プラットフォーム大革命は、ものすごい事だなぁ・・・・
と関心してしまう今日この頃なのである。